2011年11月30日

行動目標

「早く持っていかなきゃ お父さんが売っちまうぞ!」

次男坊が祖父から貰った古いが高価な数本のゴルフクラブ
今年春先から我が家の二階の納戸に置き去りにされている

「あぁゴメン忘れてた 今日は無理だけど今度持ってくから」

ゴルフ用品店に出せば結構な小遣いになると祖父に告げられ
ゴルフに興味のない次男坊が喜び勇んで譲り受けた代物である

「お前 いつどうするか ちゃんと計画してその通り実行しろよ」

「うん分かってるけど・・・ 仕事とか家事とか色々忙しくて」

「か、家事って・・・ もうそんな力関係?」

今夏から彼女と二人暮らしを始めた息子はこんな調子で自分の立場が悪くなると
「夕飯作らなきゃ・・・」などと戯言を呟きながらそそくさと帰って行く

とりあえず誰かに迷惑をかけることでもないので 私もそれ以上言わないが
たぶんそのうちゴルフクラブの存在自体 忘れてしまうのだろう・・・



今月、我が川崎会計事務所は創業32年目を迎え、月初めに行われた全体会議で例年通り当期の基本方針を発表しました。

今年は二万人近い死者、行方不明者を出す未曾有の大災害となった東日本大震災に始まり、その余波での福島第一原発事故が今なお社会に不安な影を落とし、また当地信州の栄村や我々の地元松本でもかつてない規模の大地震が発生して、広い地域で多くの人々が甚大なる被害を受けました。さらに地震のみならず、奈良県を中心とする近畿地方で百名以上の人々の命を奪う大型台風まで発生するなど、本当に異常事態とも言うべき自然災害に見舞われた悲惨な一年となってしまいました。

こういった災害の影響もあり、現在の経済情勢も一層厳しさを増す中で、我々事務所スタッフが関与先企業経営者の真のパートナーと位置付けられるように、事務所一丸となって活気ある活動を実践することを今期の基本方針の中で確認しました。

そのためには、我々もこれまでの通常業務だけを旧態依然と続けていく訳にはいきません。税務会計や経営支援に関する業務品質を更なる高みに向上させるとともに、顧客のニーズや思いに常にアンテナを張り、それに応えられるビジネスモデルを開発し実践しなければなりません。

ウチの事務所では、この基本方針を絵に描いた餅に終わらせないために、所内の部署単位で「行動目標」なるものを毎年策定し、基本方針を具現化する活動計画として組み入れています。その内容は各部署の責任者が当期の方針に基づいて、これを実現達成するための管轄部署における重点課題を抽出し、それをいつどのように実施するかという具体的な行動として計画します。

そして計画した行動目標は、四半期毎にその進捗状況、反省、課題などを行動目標報告書というシートにまとめて報告し、PDCAサイクルに乗せて一年間見直しや評価を行って管理しています。

因みにPDCAとは、【計画(Plan)⇒実行(Do)⇒検証(Check)⇒対策(Action)】の四つのサイクルを回すことで、目標予算や経営課題を確実に達成しようとする管理手法のことを言います。


それでは当期の各部署の行動目標をいくつか紹介しましょう。

「経営改善目標と実施状況管理票の運用」 課長:宮澤高明
事務所で最も中心となる月次巡回監査や決算申告業務を管轄する監査課の行動目標です。ウチの事務所では、決算申告時期に当事務所で決算検討会を行い、新年度の経営計画を策定するのが標準となっているのですが、その経営計画策定時に関与先経営者が掲げた目標や課題をこの管理票に展開して、その実施状況を経営者自らがチェックして経営に活かしてもらおうという計画です。企業が黒字体質を構築するためには、PDCAサイクルを使った業績管理が有効であると最近巷間でも注目されていますが、関与先経営者の皆さんが、この実施状況管理票をしっかり運用することで、標準的にPDCA管理が実践できるようになれば、確実に自社の業績アップに繋がると信じて、これを我々がご支援しようという行動目標です。


「FX2.net版の導入推進」 委員長:松本和彦
TKCシステムの導入支援や事務所OA機器関連の管理業務を管轄するOA委員会の行動目標です。現代は、クラウドコンピューティングと呼ばれるインターネットを介したコンピュータの利用形態に、あらゆるシステムが加速度的に移行しつつあります。関与先に利用していただいているTKCの財務会計システムFX2も同様で、データのバックアップやソフトウェアのダウンロードなどが直接TKCのサーバーとネットを介してできるシステムに生まれ変わっています。関与先企業がこの時代の流れに乗り遅れないように、また財務データという企業にとって非常に重要な情報のセキュリティを万全にし、最新バージョンのソフトウェアをタイムリーに活用するなどのメリットを享受していただくために、従来版のFX2からこの新FX2への移行支援を積極的に実践しようという行動目標です。


「原点回帰 定期保険の推進」 委員長:太田 任
関与先企業を不測の事態から守るための経営者大型保険を初め、従業員の退職金準備や福利厚生に資するための各種保険の推進を管轄する企業防衛委員会の行動目標です。TKC会員事務所では、前述の目的を遂行するために、関与先企業に対する生命保険等の推進を本来業務と位置付けており、㈱大同生命保険と連携して必要と思われる保険の提案、契約業務を行っています。そうした長年の推進によって、現在法人関与先のほとんどが最低保障額は付保されているはずだが、ここでもう一度原点に立ち返り、退職金・借入金・運転資金・相続事業承継・福利厚生といった五つの観点から、本当に必要な保障が確実に付保されているかを関与先一件一件に対して点検し、不足があれば保障重視の定期保険をもれなく提案しようという行動目標です。

他にも総務課や業務保証室といった部署があり、それぞれに行動目標を掲げていますが、当事務所では前述したように、通常業務に慣れやマンネリを生じさせることなく、我々が提供する業務品質の更なる向上を目指して具体的な活動計画を行動目標として落し込み、関与先企業の経営によりお役にたてる事務所になりたいと考えているのです。

私たちはそのために、今年度もすべての行動目標を確実に実践していく所存です。



「今日も持っていかないのか?」

こたつを取りに来た次男坊に再び問うた

「えっ? 何を?」

きたきた いよいよ思った通りだ

「ふ~ん そうきたか じゃぁもうお父さんが処分していいな」

「・・・アッー グローブ? じゃねぇクラブだ  今日はこたつが・・・
 今度ホントにそれだけ取りに来るから もうちょっと待って」

「決めてもやらなきゃ何の意味もないだろ
 忘れずに実行するための工夫をしなさい!」

「ハイ! ごめんなさい」

何事も言うは易し 行うは難し である