2013年3月31日

保険は身の丈

「おまえも子どもできたから 保険に入っとかないといかんな」

週末久しぶりに赤ん坊の顔を見せに来た息子夫婦との夕食後
軽く一杯飲りながらそれとなく促した

「ああ 保険ね… やっぱそういうもん?」

その必要性をまだ実感できない息子はトボケタ感じで訊き返す

「そういうもんって もしお前が明日死んだらどうすんだ
残された嫁と子どものことは知りませんって言うつもりか?」

「そりゃ 有りえないね」

ここはさすがに息子も即答する

「だろ? だから最低限必要な保険には入らなきゃまずいだろ?」

「うん そうだね… 分かった!」

横で私らのやりとりを聴いていた嫁さんも大きく頷いた



生命保険というと、自分に万が一のことがあったときの保障として絶対に必要だと考える人と、人の命と引き換えに金銭を手に入れるとか、人間の死を前提とした胡散臭い制度と捉えて毛嫌いする人に分かれる特徴があります。

以前このコラムでも触れたことがありますが、ウチの事務所が所属するTKC全国会には「企業防衛制度」という本来業務があります。これは関与先企業の経営者に万が一不測の事態が起こっても、その後、会社や遺族が路頭に迷うことがないように、必要十分な資金確保を生命保険によって填補するという業務です。

これを迅速、確実に関与先企業に提供できるようTKCが大同生命保険㈱と提携し、同社が設計した企業向けの保険商品を私たち会員事務所がその代理店となって関与先に推進しています。

私たちはこの業務を会計事務所の立場として関与先企業を守るための義務と位置付けていますので、保険が好きとか嫌いとか、保険料が高いとか勿体ないとかそんな時限で単純に保険を売っている訳ではありません。

関与先企業が抱えている借金や経営者が亡くなった場合の死亡退職金、さらに残された遺族のための生活保障などを基準とした「標準保障額」を算出し、それがその経営者にとっての絶対要件であれば、半ば強制的にでも加入することを勧めます。

この「企業防衛制度」は基本的に法人を対象として行っていますが、私らはこの業務をプロとして遂行するために、これまで生命保険等に関する専門的なスキルを身に付けてきましたから、一般家庭が安心して暮らせる環境を確保するための一個人への「生活防衛」としてのアドバイスも当然に行えます。


「1億円くらい入っときゃいいかな」

「1億~? お前の給料で月々3万円も保険料払えるの?」

「ゲッ! そんな高いの?」


何の考えもなく息子が言うので、私は二人を前にそもそもの生命保険の仕組みや種類を説明してから、現在の息子の家族構成、収入、年齢などからどんな種類の保険でどの程度の保障を付保するのが適切かをアドバイスしました。

先月23歳になったばかりの若い息子に私が薦めた条件は、最も負担の軽い保険料で最大の死亡保障が確保できること、短い更新期間で保障額や契約内容が見直しやすいことという二点でした。

そして息子夫婦と話し合い、最終的に5年更新の無配当定期(掛捨)保険を主契約として、不慮の事故など病気以外の原因で死亡した場合の災害割増特約を主契約と同額付保し、身体障害状態となった場合などに保障する傷害特約、それに三大疾病と呼ばれるガン、心筋梗塞、脳卒中の場合に保障を厚くする最大90日の医療保障特約をセットした保険に入ることに決めました。

この保険の月々の支払保険料は7,500円弱ですが、どちらかと言うと彼らが現在負担できる保険料ベースで設計した保障内容です。特に若いうちは多少保障が不足しても、保険料の負担が生活に支障をきたさないようにすることも考慮すべき要件です。


生命保険というのは、何でもかんでも保障さえ厚く大きくすればいいというものではなく、自身の現状と将来のライフプランからその内容を吟味して、あくまで身の丈に合ったものに入ることが肝要です。

現在加入している生命保険の保障内容が実はよく分からないという方もよくお見受けします。ご自分が適切な保険に入っているのか不安のある方や自信がない方は、早いうちに契約内容を見直すことをお勧めします。

当方でもお手伝いできますのでお気軽にお声かけ下さい。



「お前のように結婚して子どもが産まれて家庭を持ったら
自分の家族を一生守り抜く責任としてこの位の保障は必要だな」

「うん…でも金ないからこれでも結構きついけどね」

「金がないから保険に入るんだよ
金が十分ありゃ保険なんて必要ないだろ」

「あ そうか! 父さん上手いこと言うね~」

「バカやろ 口八丁で保険売ってるみたいに言うな(笑)
すべてはお前の可愛い娘のためだ 死んだ気になって働け!」

「ラジャー!!」