2014年12月8日

いのちの洗濯


「あ~あ いよいよここの景色ともお別れかぁ」

「旅行に来てこんな真剣に帰りたくないって思ったことないなぁ」

帰りの空港に向かうタクシーでどちらからともなく呟いた


「でも ホンットに楽しかったね!」

「ああ 身体中の毒素がぜんぶ抜けたって感じ
島全体がパワースポットって言われる訳だ」 

満足感と後ろ髪をひかれる気持ちが交錯する中で
30年ぶりの夫婦二人の海外旅行は幕を閉じた



11月9日から一週間休みをいただいて、神話が生きる島ハワイ島に行ってきました。

来年結婚30周年、俗に言う真珠婚を迎える私ら夫婦ですが、今さら真珠のネックレスなどプレゼントしてもしょうがないので、せめてもの感謝の気持ちを伝えるために計画した記念旅行です。

そして、やや前倒しでこの時期にしたのにも一つ理由がありました。

私ら夫婦の友達で毎年11月にハワイ旅行をされているご夫婦がいらっしゃいます。

そのご夫婦は当地でペンションを営んでおり、業種がらオンシーズンとオフシーズンの繁閑差が大きく、時期的にオフとなるこの11月に決まった休日のない自らへのご褒美として始めたハワイ旅行だったようですが、今では毎年そのご褒美を継続することを目標にして、日々お仕事を頑張っているとても素敵な私らと同年代のご夫婦です。

生まれたときから知る互いの子ども同士も仲が良く、一昨年ウチの長男が彼らの息子さんを結婚式に招待したのですが、学校が違うために他に知り合いがいない彼を、長男は我々家族のテーブルに同席させ、さらに友人代表のスピーチまでお願いするといった間柄なのです。

そんな30年来の家族ぐるみのお付き合いを続けてきた彼ら夫婦とは、いつか一緒にハワイ旅行に行けたらいいねと常々話していたのですが、ウチが両親の介護などで家を空けられないといった事情もあり中々実現しませんでした。

しかし、たまたま私ら夫婦と同じ年に結婚した彼らは、その結婚した年にペンションをオープンさせたので、何もかもが30周年を迎えるということで、職場や家族にはちょっとご無理をお願いしてでも、ここで行くしかないでしょという思いで此度の旅行に踏み切った次第です。


今回旅先に選んだカメハメハ大王の生誕地として知られるハワイ島は、ハワイ四島の中で最も時代の新しい最も大きな火山島で、もともとは海底火山の噴火によるマグマが積み重なって出現した溶岩だけの島だったそうです。それを移り住んだ先住民が開拓して人間が生活できるようにしてきたわけですが、この島の最大の魅力はその火山活動も開拓も、今なお活発に続いているところにあると思います。

今年10月にもハワイ火山国立公園内にあるキラウエア火山が噴火して、通常であれば海側に流れ出す溶岩が住宅地に向かって流れたこともあり、観光に行こうにも間近で躍動する溶岩を見ることもできないため、その国立公園には行きませんでしたが、こうした自然環境からも、今なお形状が刻々と変化する息づく島であることが分かります。

そんな、日本ではとても見ることのできない壮大な自然が残るこの島で、身も心ものんびりリラックスしたかったというのが今回ハワイ島を選んだ第一の理由でした。


実際に現地に降り立って、迎えに来てくれていた友達夫婦の奥さんが運転する車で信号機のないハイウェイを走りながら目に飛び込んでくる風景に、私は思わず「おお~っ」と声を上げて見入ってしまいました。



一般的にハワイと言えば、先ずはオーシャンブルーの美しい海をイメージしますが、ことハワイ島に関しては、やはり火山島と言われるだけあって、海よりも山、しかもその噴火によって積み重なった溶岩がそのままの状態で断崖の如くハイウェイの両脇に何キロも続いているのです。これをよく切り拓き、緑を育て、ここまで開発したものだと感嘆させられました。

ハワイ島は島の中心部に、マウナ・ケアとマウナ・ロアと呼ばれる4千メートル級の二つの山が南北に並ぶように位置し、その山の東側にヒロ、西側にコナという都市部があります。

今回私らが滞在したのは、コナ・コーヒーやコナ・ビールで有名なコナ地方のコハラ・コーストと呼ばれるリゾート地に位置する膨大な広さのヒルトン・ワイコロア・ビレッジでした。そのビレッジに点在する11棟の3階建てのマンションのようなゲストハウスの一室を彼ら夫婦が手配してくれていました。


その部屋のベランダからの眺めは、目の前にオブジェの如き溶岩がある中庭、その向こうにゴルフコース、その向うに海、周囲にはゲストハウス以外に建物は何もないといった環境で、ビールでも飲みながら一日中でも眺めていられそうな素晴らしい風景でした。


そして彼ら夫婦とご一緒した四日間は本当に快適な日々でした。

ハワイが第二の故郷のようなお二人なので、何をするにもどこへ行くにも言ってみれば私ら夫婦だけの添乗員がいつも隣にいるようなもので、特に奥さんは英語は通訳ができるほど堪能で、右側通行の車の運転も現地に住んでいるかのようにスイスイこなし、ハワイ島の有名なスポットを初め、ショッピングでも食事でもどこでも平気で連れて行ってくれる頼りになる存在でした。


さらに彼らとウチのカミさんが最も楽しみにしていたゴルフデビューも果たし、つい三ヶ月ほど前に生まれて初めてクラブを握り、打ちっ放しに3回ほど行っただけのウチのカミさんは、初日四人でプレーしただけでは飽き足らず、次の日も自ら行こうと私と二人でラウンドを楽しむほどハマってしまいました。




それだけハワイでのゴルフは爽快でした。服装は自由、プレーはツーバッグ(二人でのラウンド)が一般的で、グリーン以外はボールの手前までカートに乗って行って構いません。それでもコースはよく整備されていて、フェアウエイの真ん中やグリーン周りに2~3メートルの溶岩が残されたようなコースもあり、気楽に十分堪能することができました。

ただ、三人のラウンド初体験者と一緒に回った私の半端ない疲労感は、ゴルフ経験者の皆様にはお察しいただきたいと思います(笑)

何はともあれ此度は彼ら夫婦に日程をマッチングしてもらい、現地では何から何までお世話をいただいたことで、私ら夫婦にとって本当にストレスのない、期待以上に素晴らしい記念旅行となりました。この場を借りてお二人に心からお礼申し上げます、本当にありがとうございました。 楽しかった~!!



「次はいつ来れるかなぁ・・・」

「こんな贅沢ないのちの洗濯はそうそうできるもんじゃない」

「いや あたしお金貯めて来年も絶対来る!」

「おいおい 一年でそんな貯められないでしょ」

「大丈夫! あたし一人分くらい何とかなる」

「おいおい 一人って・・・」